(旧)カクかく

いつも側に寄り添っていて、人生を豊かにしてくれる文房具。そんな素敵な文房具をゆるく紹介します。

第85回 文房具朝食会@名古屋 開催されました

1月6日(土)に今年1回目の第85回 文房具朝食会@名古屋が開催されました。

今回は今までとは趣を変えて、スピンオフ企画として「たてものとノートとコーヒーの話」と題して、NO DETAIL IS SMALLさんのオーナー兼建築家の矢田さんのお話を拝聴して来ました。
f:id:Pi-suke:20180106112545j:plain:w300
nodetailissmall.com


普段なかなか聞くことのないお話が豊富でした。


講義形式で行われました。講義のタイトルは「プロダクトデザイン・クラフトデザインと建築設計」です。
今まで矢田さんから個人的にちょっとお聞きする機会はあったのですが、こうして改めてお話を聞けるのは貴重な機会です。

まずは矢田さんの考える「デザイン」とは何か?です。
改めて「デザイン」って何か?と問われると考えてしまいます。メンバーもそれぞれ考えを簡単に発表していました。
僕にとってのデザインは「遊び」です。かしこまったモノではなく、身近なものじゃないかな?と思います。
矢田さんは「【日々の生活の延長線上に「デザイン」がある。】と考えています。」とのことです。


その後は、6種類の紙の「書き心地」を体験です。
NO DETAIL IS SMALL さんでは、中の紙を選んでオリジナルノートを作れます。
それらの紙の書き心地を体験しながら、お店の名前の「NO DETAIL IS SMALL」の由来やどういうお店にしたいかです。
店名はデザイナーの八木 保 氏の著書のなかに出てくる言葉だそうです。

元はエスプリ(アメリカのファッションブランド)のデザイン室に掲げられていたスローガン。直訳すると「ディテールへのこだわり」であり、意味としては小さなことも見逃さない「目配り」「気配り」「心配り」と理解するこが出来ます。

そして、矢田さんの考えるお店は、

自分たちがデザインしたものを発表する場所、人々が集う場所にしたい

とのことです。コミュニティの場として、我々文房具朝食会@名古屋が利用させていただけているのも、この考えがあるからこそなのですね。


そしてお店の建物のデザインについてです。
f:id:Pi-suke:20180108211414p:plain:w300
周りの建物と調和するために、庭や軒を作り屋根には瓦を用いています。そして土壁なんです。
今まで何十回とお邪魔しているのに、説明を聞いて改めてこのお店の素晴らしさを知ることができました。
NO DETAIL IS SMALL さんは、四間道や円頓寺といった名古屋でも古い街並みの中にあります。そのため、景観を非常に大切にされていることを知ることができました。
改めて考えてみると、非常に周りの建物と調和がとれている。というか馴染んでいる。
そしてお店の外観だけでなく、内観も細心の注意が払われています。
お店に行くと目にしているものが、選ばれている意図などを聞くと、なるほどな〜と思うことばかりでした。
棚も尺貫で採寸されているので、建物とのバランスがいいんですね。建物はいまだに尺貫で作られていますからね。


昨年から始まった「Share Happiness Workshop!」
ノートを2冊作って、1冊は自分用、もう1冊は児童施設に寄付するというワークショップの活動報告です。
このワークショップについては、このブログでも何度か取り上げていますが、本当に素晴らしい活動です。
なかなか寄付するとい行為には馴染みがない上に、ちょっとハードルが高いように感じますが、これなら気軽に自分も楽しみながら還元できます。
僕は四半期に1回は参加して、継続できるようにしたいと思います。


ここで冒頭に試筆した紙がなんだったのかネタバラシです。

A OKフールス 日本製紙
B バンクペーパー 三菱製紙
C 竹紙 中越パルプ工業
D モンテルキア 日本製紙
E トモエリバー 巴川製紙
F タブロ 王子製紙

どの髪が一番書き味がよかったか?の問いでは、驚いたことにB のバンクペーパーに手を挙げる人が誰もいなかった点です。
確かに筆記具を指定していなかったので、誰も選ばなかったのかな?と思いました。
E のトモエリバーは、ほぼ日ユーザーが漏れなく挙手していたので、やはり普段から使い慣れた紙だからでしょうか。
ちなみに僕はF のタブロを選びました。当日は鉛筆でメモを取っていたので、鉛筆で書いた際の紙からの反応というか芯が削られる感触というか、そういったものがとっても気持ちよかったからです。
筆記具が異なると、当然気持ちの良い紙も変わってきます。


そして矢田さんの本業である建築デザインのお話です。
最初に紹介されたのは、岡崎にあるPen’s Alley Takeuchi さんです。
f:id:Pi-suke:20180108211742p:plain:w300
実はPen’s Alley Takeuchi さんの建物のデザインは、NO DETAIL IS SMALL のご主人が設計された建物なんです。
そしてPen’s Alley Takeuchi さんで扱われている「ホタル」というインクボトルも、NO DETAIL IS SMALL さんデザインなんです。
f:id:Pi-suke:20180108211802p:plain:w300
Pen’s Alley Takeuchi さんのお店は、本当にすっごく居心地の良いお店で、文房具朝食会@名古屋を主催している猪口フミヒロさんは毎週のように通っているそうです。確かに地元にこんな素敵なお店があったら僕も用も無いのに通っちゃいます。
Pen’s Alley Takeuchi さんの建物は築60年を建て替えたそうですが、「持続可能性」と「景観への配慮」がキーワードでした。
f:id:Pi-suke:20180108211828p:plain:w300
築60年ともなると、更地にして立て直したのかと思うと、そうではなくて利用可能な部分は残しての建て替えだそうです。
そしてPen’s Alley Takeuchi さんの向かいには、岡崎信用金庫資料館があるので景観を大切にされたそうです。


最後に、矢田さんから以下の質問がありました。

質問 1 「大量生産されているもの、たくさん売れているものは良いデザインですか」 質問 2 「建築家とは誰ですか?」
質問 3 「みなさんは、なぜ? 建築を勉強しようと思いましたか」
質問 4 「心地とはなんでしょうか」

この4つの中から、2つ選んでレポートを提出する。という本当に今までにない締めがありました。
皆さん、初めてみるぐらい真剣です。
f:id:Pi-suke:20180106120614j:plain:w300
お正月ボケなんて言ってられません。学生気分に戻って、僕も真剣にレポートを書きました。
f:id:Pi-suke:20180106120232j:plain:w300



今まで散々お世話になってきたNO DETAIL IS SMALL さんのお話を改めて聞くという、非常に濃い内容の文房具朝食会@名古屋でした。普段とは終始違う雰囲気の中でした。たまにはこうした真面目な回もありですね。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。