(旧)カクかく

いつも側に寄り添っていて、人生を豊かにしてくれる文房具。そんな素敵な文房具をゆるく紹介します。

国産万年筆のデザインは確かにダサいけど、それでも独立して生き残るためには

ブログを書いている環境はHatena blog なのですが、Hatena には「匿名ダイアリー」という機能があります。
特定のブログで公開するのではなく、みんなで共有のブログのような機能です。
イメージとしては、みんなで使う雑記帳のようなものかな・・・

そんな「匿名ダイアリー」に気になる投稿がありました。

anond.hatelabo.jp

なかなかセンセーショナルなタイトルです。
最初に読んだ時には、正直不快な気持ちになりました。
正直、よくもまぁここまで悪態がつけるな・・・
文体自体は不快になりましたが、まぁ書いてあることの全ては共感は出来ませんが、理解できる部分も多分にある。

この記事のポイントとして、

  1. 国産万年筆メーカー3社(セーラー万年筆パイロット・プラチナ万年筆)のデザインがダサい
  2. 3社のフラッグシップモデルが全部モンブランのパクリ
  3. 漢字文化圏の万年筆は質が高いから、中華系企業に買収されてほしい
  4. 国産万年筆メーカー3社は、ペン先のニブを販売すればいい

万年筆だけでなく、そのメーカーのホームページまで言及されているが、万年筆に限った内容に絞るとまぁこんなところだろう。

デザインについて

確かにデザインがダサいというのは理解できる。
「ダサい」というよりは、無難なデザインから脱却出来ずに今に至っている。と思う。
多くの人がイメージする万年筆のデザインが、黒軸に金・銀色のペンクリップだと思う。
オレンジ色やストライプ柄の万年筆をイメージする人は少数派だと思う。
メーカーが多くの人がイメージする万年筆から脱却できないのだろう。
ただこの黒軸に金・銀色のペンクリップというデザインは、ある種の完成された万年筆のデザインなのかも知れない。そのため、いまだにそのイメージが強いのではないだろうか。

この国産メーカーの万年筆のデザインがダサい。というのは、何も万年筆に限った話ではないと思う。
家電や車など多くの物に対して言えるのではないだろうか。
多分このデザインというのは日本人の苦手な分野なのではなないだろうか?

「匿名ダイアリー」の投稿には、その対策として中華系企業の参加に入ることを提案している。
投稿で「中華万年筆はガチパクリが多いといっても、パクリ先が豊富で飽きない」と言っている。
さらに「ついに独自デザインの・・・」と言って「Moonman」をあげているが、これどう見ても香川の「helico」のガチパクリじゃないですか。
まぁ揚げ足取りをしても仕方がないので、パクリをしている限りはいつまでたってもパクリのままでオリジナル性は生まれないと僕は思う。

中小の万年筆メーカーは海外に負けない独自のオシャレな万年筆を出している。
例えば先の香川の「helico」さんもそうだし、「中屋万年筆」さんなんか日本的なデザインでとってもしゃれていると思います。

どうしても企業が大きくなると冒険しにくい体質になってしまうのだろう。
そこから脱却する第一歩として、万年筆に限らず自社の筆記具のペンクリップや天冠を共通の独自デザインのものに変更することはどうでしょう。
例えばプラチナ万年筆さんの「#3776 CENTURY」の限定品には、「富士山型特製パーツ」が天冠に装着されています。
これを限定品に限らず、全ての「#3776 CENTURY」シリーズに使うのはどうでしょう。
そうすれば天冠部を見れば、「おっプラチナのCENTURYだね!」と分かりますし、その天冠のデザインを生かしたデザインが生まれてくるのではないでしょうか。
セーラー万年筆やPILOTOもまずは天冠やペンクリップを独自デザインで共通のものにするところから初めてはどうでしょうか。
そうすれば、すぐには無理でも数年もしたら独自デザインが生まれてくるのではないでしょうか。

中華系企業の傘下入りについて

この提案は、メーカーの体制をドラスティックに変更させるには有効な手法かも知れない。
それによりデザインは一時的にオシャレになるかも知れない。(結局どこか海外メーカーのパクリかもね)
しかし、僕はこの提案には大反対だ。
なぜなら過去に中華系企業の傘下に入ったがために、世界トップの技術力がパクられた例はいくらでもある。
国産メーカーのそれぞれが長年の研究など非常に苦労して積み重ねてきた独自の非常に優れた技術を有しているので、そのリスクをあえて犯す必要性は感じない。
中華系企業の傘下に入った結果、現在の優れたペン先などの他の技術と同じことになってしまう可能性が非常に高く、結果的にペン先の提供メーカーとしても埋もれてしまうと思う。

結論

ペン先などの技術については、今まで通り国産メーカーさんには大変だろうが頑張って欲しい。

デザインについては、現状では国産メーカーの万年筆の値段の貼る物といえば「蒔絵」が多くなってくる。
従来の「蒔絵」デザインは、正直日常使いにはちょっと・・・と思わざるを得ない。
それはちょっと派手というか野暮ったいというか・・・お土産じゃなく日常で使えるようなデザインをお願いしたい。
そして「蒔絵」だけでなくその他の漆器技術、それに「螺鈿」などの伝統工芸などの日本に脈々と伝わる技術をデザインに生かしてはどうだろうか。

結局海外のモノマネをしている限りは、海外メーカーとの差別化が難しいが、伝統工芸の手法を取り入れれば、日本独自のデザインであり海外メーカーが真似しようにもなかなかできないのではないだろうか。
そうすれば、衰退して後継者不足で技術が失われようとしている伝統工芸の技術を次の世代に伝えることができ、非常に世の役にも立てると思う。