万年筆の世界を味わい尽くす「万年筆の作法」
岐阜県大垣市にある川崎文具店さんで「万年筆の作法」というイベントに参加してきました。
元々は街のイベントの「おむすび博」にて行われたものなのですが、大人気でキャンセル待ちが生じたほどのイベントです。
今回は街のイベントで行われた内容と同じことを、川崎文具店さんが独自で開催されました。
なお明日の23日(日)13時からも開催され、まだ若干席に余裕があるそうですので、もし興味がある人はお店に連絡して参加してみてください。
ちなみに参加費は、10,000円ですがお土産に店内にある1万円の万年筆を1本持って帰ることができます。(追い金すれば、10,000円以上も大丈夫です)
万年筆の作法
ミクサブルインクを調合
万年筆に欠かせないインクについて、インクの特徴や特性をお勉強です。
インクと一言でいっても、「染料インク」「顔料インク」「古典インク」とあります。それぞれのインクについて、メリット・デメリットだけでなく使う上での注意点などをお教えいただきました。
座学の後はプラチナ万年筆から発売されている「ミクサブルインク」を自分で調合です。
通常はインクを混色することは厳禁ですが、このインクは9色のインクを混ぜて好きな色を作れます。
自分の好きな色のインクをいきなり作るのは大変です。
まずはベースとなる色を作って、その後にトーンや深みを追加すると良いとお教えいただきました。
あまり混色しすぎると、くすんだ色になりかねないので、3〜4色で済むように考えながら作ります。
最後に3mlの小分けに入れていただきました。
万年筆の書き味を味わい尽くす
インクの後は、万年筆の書き味の違いを体験です。
万年筆のペン先は、大きく分けてステンレスでできた「鉄ペン」と、金でできた「金ペン」があります。
「金ペン」はさらに14Kや18K、さらに21Kなど金の含有量の違うものがあります。
「鉄ペン」「金ペン」の特徴などの説明を受けた後は、実際に店内にある万年筆でその違いを体験しました。
店内にある万年筆ですので、プラチナ万年筆のセンチュリー3776(14K)と同じくプラチナ万年筆のプレジデント(18K)を比べたり、ペリカンやカヴェコやビスコンティなど国内メーカーに限らず海外メーカーの万年筆で、総計で15種類もの万年筆の書き比べでした。
まずは純粋なペン先の書き味を知るために、インクを付けずに試筆してみて、その後にインクを付けて書いてみる。という流れです。
面白いのがメーカーによっては、鉄ペンでも柔らかな書き味だったり、金ペンでも硬い書き味のものがあることです。
またメーカーの違いだけでなく、同じメーカーでもシリーズによって書き味が違うんですよね。A社のブランドaの金ペンは書き味が硬いのに、ブランドcでは柔らかめの金ペンだったりするんです。
総じて金ペンは柔らかな書き味と言われるのですが、メーカーによってはそうでもないことがわかりました。
勉強になったのが、インクを付けた状態と付けていない状態とでは書き味が劇的に変わるものがあったことです。
インクをつけると、インクが潤滑油のような役割を果たして硬いと思っていたペン先が滑らかに感じるようになるものもありました。
インクを付けてしまうとインクフローの影響を受けてしまうので、まずはインクを付けない状態で試し書きをする必要性を感じました。なぜならインクフローはペンクリニックで調整してもらえるので、インクフローの影響で描きやすいと錯覚してしまいますからね。
ペン先を調整
最後のコーナーでは、禁断のペン先調整です。
流石に何千円もするような万年筆では試せないので、プラチナ万年筆のプレピーを使って、実際に自分で調整を行いました。
使ったのは8,000番のラッピングペーパーです。このラッピングペーパーの上をなぞるだけで、書き味が変わります。
その際に、ペンポイントを思い浮かべながらどこが引っかかる箇所かイメージしながら行うのですが、なかなか難しいですね。
実際に自分で行ってみると、ペンクリニックのペンドクターのすごさがわかります。川崎さんがおっしゃられるには、最低でも100本は万年筆をダメにしないと人の万年筆は触れない。
でも、自分でペン先の調整が行えるようになれば、自分の微妙な描き癖に合わせて調整できるので、いつかはちゃんと調整できるようになりたいです。
午後の1時から4時までノンストップの3時間でしたが、あっという間でした。
今までなんとなく感覚的に得ていた知識を裏付けることができて、座学だけでもためになるのに、実際に15種類の万年筆を試筆したり、ペン先の調整をしてみたりと充実した3時間でした。
最後に店内にある万年筆を選ぶのですが、めちゃくちゃ悩みました。なにせ15種類も書き比べした上に、知識を得ているのでどれがいいのかなかなか決められませんでした。
このイベントは、万年筆好きならぜひ一度は体験してほしい内容です。
多分また来年の「おむすび博」でも開催されるのではないかな?なかなか経験できることではないので、また体験したいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。