(旧)カクかく

いつも側に寄り添っていて、人生を豊かにしてくれる文房具。そんな素敵な文房具をゆるく紹介します。

素敵な随筆「文房具56話」

先日、何気に書店に行って徘徊していたら串田 孫一 著の「文房具56話」という本を購入しました。

文房具56話 (ちくま文庫)

文房具56話 (ちくま文庫)

完全にタイトル買いです。
どんな内容の本なのか、ワクワクしなが帰宅後にページを開いた随筆でした。
Amazon にある紹介文

文房具、身近な小道具でありながら、これほど使う者の心をときめかせる物はない。消しゴムで作ったゴム印、指先で糊をのばす風景、鳩目パンチ、吸取紙など、懐かしいものがたくさん登場する。手に馴染み、気持ちに寄り添う文房具。ちょっとした使いこなしがその価値を決める。どうすればこの小さな道具が創造力の源泉になりうるのか。文房具の想い出や新たな発見、工夫や悦びを語る随想集。

まだ1/3 程度しか読んでいませんが、とっても興味深いです。
著者は1915年(大正4年)生まれなので、出てくる文房具は今でもあるものですが、まつわる話が全てでは無いけどももはや歴史的です。

例えばP17 「ペン先」には、

小学校では、まず石盤に石筆。鉛筆と習字の毛筆、そして、多分四、五年になって、初めて、ペンとインキを使うようになった。

石盤・石筆が分からなくてインターネットで検索したら、イメージとしては持ち運びできる大きさの黒板とチョークのようです。
当時の小学生は最初は鉛筆ではなく、まず黒板っぽいものがあって、そのあとに鉛筆・毛筆があり、最終的に付けペン?か万年筆になるというのは驚きです。

そうかと思うと、著者の意見に思わず納得する箇所もあります。
P12 「帳面」

横罫の場合にはノートでもいいが、縦罫となると、ますます帳面の方がしっくりしている。

確かに日本語は基本的に縦書きの文字なので、その文字を記すものが「ノート」というよりも同じ言語の「帳面」と表現した方が、しっくりくる。

P65 「手帳」

みんな来年はこれまでとは違った新しい気分でなどと思うのだから、手帳ぐらい別のものを選べばいいと思うが、結局は生活というものが続いているので、・・・

手帳はやはり生活に密着しているので、使う人の生活にあったものを選ぶことが良いのですよね。


面白いのが、
P21 「消ゴム」

学校へ通う子供たちの、筆入を開けて見て、そこに消ゴムが入っていたとすると、これが、素直に、つまり消ゴムらしく使われている場合は少ないのでは無いかと思う。

僕自身も消ゴムで遊んだ身に覚えがあります。酷いものだと、鉛筆やシャーペンの芯を刺したりしたものです。
戦前の子供も現代の子供と同じように、しょうもないことをしていたのかと思うと笑えてきます。


なかなか内容が濃いので、じっくり読み進めているのでまだ読了できていませんが、この作品はじっくりと読みたいです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。